Lightning Event は3度死ぬ
Lightning Event とは
Lightning Event とは、Lightning Component において、コンポーネント間でイベント処理を実行するための仕組みです。Lightning Event では、イベントを定義する、イベントを発火するコンポーネントに定義を記述する、イベントを受け取り処理するコンポーネントに定義を記述する、の3ステップが必要となります。
First Impact
問題点
それは、Lightning Component をまともにコンポーネント分割してコンポーネント間のイベント処理を Lightning Event で行おうとしたときに訪れます。
Lightning Event も Lightning Component などと同様にバンドルという単位で扱います。このバンドルにイベントの定義だけを記述します。問題はこのバンドルがすべて1階層内で管理されるため、まともにコンポーネントを分割し、イベント処理を書いていくとものすごい数のバンドルが作成されることになり、管理不能になっていきます。
対応策
対応策としては、下記の2つが考えられます。
- まとめにコンポーネントを分割しない
- Lightning Component はあくまでも外側とのI/Fの定義に徹して、内部は別ライブラリ(React.jsなど)を利用する
前者はコンポーネント志向を捨てることになるので、後者のほうが優れたやり方ではあります。ただし、モダンJavaScriptのスキルが必要となるので、JavaScriptが得意ではないエンジニアがいきなり採用するには少しハードルがあります。トレンドは、モダンJavaScriptを利用して開発する流れとなっているので、頑張って覚えていってもよいかもしれません。
Second Impact
問題点
それは、別のパッケージにある Lightning Component を Lightning Event で連携しようとしたときに訪れます。
Lightning Event は型付け言語に相応しく、ソースコード中にある場合は定義を参照してバリデーションしており、定義が見つからない場合はソースコードをSalesforce組織にデプロイすることができません。
そのため、他のパッケージ中にあるコンポーネントを参照すると、自動的に基本パッケージと拡張パッケージというような主従の関係となってしまいます。これは、 Lightning Event でも同様に機能しますので、他のパッケージの Lightning Event を呼び出すパッケージを作ろうとすると、呼び出し元のパッケージに依存するようになってしまい、単独ではインストールすることができなくなってしまいます。
対応策
対応策としては、Lightning Event を利用する場合は、直接的なイベントのワイヤリングを諦めるしかありません。それぞれのパッケージでは別々に Lightning Event を発火・受け付ける処理を作成し、2つのパッケージのコンポーネント間のイベントを受け渡すワイヤリング用のコンポーネントを作成することでやりたいことができるようになります。
自動的にイベントをワイヤリングできなくなってしまうところですが、このワイヤリングコンポーネントを2つのパッケージの拡張パッケージとして作成してやることで、コーディングする必要はなくなります。
2つのパッケージにある Lightning Component を Lightning App Builder で配置し、合わせてワイヤリングコンポーネントを配置してやることでイベントの受け渡しを実現できます。
Third Impact
もうすぐ ltng:sendMessage イベントが実装されるようです。
このイベントを利用すると、新しいイベントを定義せずに ltng:sendMessage イベントでメッセージ(JSON形式)をチャンネルを指定してイベント発火し、
ところが…
今Skipが居たのでフラっとltng:sendMessageをコンポーネント間のIFに使うのはアリかと聞いたら、結論からするとあんまりいいアーキテクチャじゃ無いよ、それ用に作って無いし、だそうです。(元々ltng:sendMessageはAppBuilderが使う事を想定)
— Mitsuhiro Okamoto (@mitsuhiro) September 21, 2015
んで、Lightning Eventをパッケージングした時の依存性問題に関しては、例えばイベントを別のイベントへ流す様なマッピングツールを提供するなど、今解決策を検討してるそうな。なのでProductionでComponent間連携やるのはもうちょい待った方が良さげ。
— Mitsuhiro Okamoto (@mitsuhiro) September 21, 2015
おぅ…。
希望の光と思われた ltng:sendMessage も解ではないと…。
問題として認識されて、解決に向けて対応中とのことなので、もう少し様子を見ましょう…。
Enjoy Lightning!
Dreamforce 2015 に行ってきた!
はじめに
Salesforce.com 関連ビジネスをやっている方は一度は参加しておきたい世界最大のITカンファレンス"Dreamforce 2015"に参加してきました!
フライト
開催地はもちろん米国サンフランシスコ!
日本を深夜に飛び立つ羽田便に乗り込み、リクライニングしないシートに耐え忍ぶこと9時間。なかなかの苦行でしたが、とりあえず持参したアイマスクとエア枕と気合で寝て過ごしました。なんと他の列に座った同僚もリクライニングしなかったとか。
Keynote
基調講演はいつものハワイの方から始まりました。安定の眠気を誘う感じでした。やはりこのハワイアンダンスがあるとDreamforceが始まった感じします。
そして、スティービー・ワンダーさんへ。もうまるっきり何のイベントか分からなくなってますね。会場でリズムに合わせて踊ってる人が映し出されたり、ノリノリな人も。日本語同時通訳ゾーンで、かなり距離があったのが残念。
今年はLightningMan。もう何がなんだか…。しかし、マーク・ベニオフ CEO とパーカー・ハリス Co-Founder の掛け合い漫才は圧巻でした。
DevZone
今年の目玉はなんと言ってもTrailheadでした。URLが書かれた紙が入ってると思われる箱をもらうための行列がすごかったです。米国人も並ぶんだなぁと妙なところに感心してしまいました。
さて、今年はここ2年間連続で開かれたHackathonがなく、一昨年のSalesforce1や昨年のLightning Componentのようにイベントで発表される新技術もなく、Developer的には少し物足りない感じもありました。
まぁ、Lightning ExperienceやLightning Design Systemが先立ちされちゃってるので、それ関係のセッションを聴くとか落ち着いて過ごせたので、それはそれでよかったですけど。
IoTとかやってるベンダーならThunderとか発表されたので、もう少し違った感じなのかもしれません。
Partner Zone/Session
今回はISV向け、Partner向けのセッションを多めに参加してみました。
初日のPartner Meet Up Session、最終日のPartner Technical Sessionは日本のパートナー向けに特別に準備されたセッションでした。その中でもADM(Adoptive Delivery Methodology)の解説は、現在進行形でチームビルドとリリースプロセスの見直しを行おうとしているところで個人的にタイムリーな話題でした。
最終日のセッションでは、ADMのうちバックログをスプリントに流すところのワークショップがあったり、プロジェクトオーナーの役割やスクラムの進め方など質問させてもらう時間があったりと、とてもよい刺激になりました。
参加セッション
今回、私が参加したセッションはこんな感じです。初めて、ということで勝手も分からないので、Keynote、ISV、Lightningあたりのキーワードで絞って参加してみました。
Day0(2015/9/15)
10:00-11:30 | Partner Keynote: The World's #1 Cloud Ecosystem |
15:00-15:30 | Lightning Components: The Future |
16:00-18:00 | Partner Meet Up Session (for Japan) |
19:00-20:00 | Cloud Expoウェルカムレセプション |
Day1(2015/9/16)
09:00-09:40 | Emerging Technologies: Getting started with the new Lighting Experience for ISVs |
10:00-10:20 | ISV Tech Talk: Introducing The Salesforce Lightning Design System |
13:00-15:30 | Get Ready for a New Kind of Customer Success with Marc Benioff & Special Guests |
17:00-17:30 | Advanced Lightning Components |
19:30-21:30 | Japan Night |
Day2(2015/9/17)
09:00-09:40 | Building Lightning Components for ISVs |
10:30-11:20 | Salesforce Developer Keynote |
中の人とHerokuで昼食 | |
14:00-14:50 | App Cloud Keynote: Experience a New Way to Build Apps - Platform Keynote |
16:00-17:30 | Heroku Session & Office Tour |
Day3(2015/9/18)
09:00-12:00 | ISV App Lab Building Your App, and Your Business From A-Z |
15:00-16:00 | Partner Technical Session (for Japan) |
いったん、まとめ
現地での時差ボケは朝4時くらいに起きてしまう以外は特に問題なかったのですが、帰国後はなかなか時差ボケが治らないのか、疲労が取れないのか突然の眠気に襲われたり、業務がバタバタしたりで、ブログがこんなに遅く…。
MiniHackやHerokuオフィス訪問などまだ書ききれてないので、ぼちぼち続きを書いていこうと思います。
忘れないうちに。。。
Salesforce Summer 東京で開発者コミュニティラボを初開催しました!
2015年7月24日に開催されたSalesforce Summer 東京にTOKYO Salesforce DUGとしてスペースを貸してもらい、開発者コミュニティラボを初開催しました!(ぱちぱちぱちっ)
タイムスケジュールとしては、こんな感じでした。
DUGの紹介
まずは、Salesforce DUG 会長の米井さんからDUGの歴史について、ざっくりまとめつつ、DUGの存在意義についてアツく語ってもらいました。Force.comエンジニアの地位向上、エンジニアとしての価値向上、DUGに参加することのメリットなどなど。
しかし、Meetupを一回しかやらなかった年があるとか、なかなか黒歴史ですね。ちょっとサボりすぎですね。すみません、ごめんなさい、もうちょっと頑張ります…。
Lightning 開発者トーク
Lightning開発者トークでは、Lightning Componentを実際に開発しているオークニーさん、co-meetingさん、テラスカイさん、チームスピリットさんの4社から発表がありました。
co-meetingさんからはカンバンコンポーネント・ガントチャートコンポーネントの紹介とLightning Componentのライブコーディング。
テラスカイさんからはカレンダーコンポーネントの紹介。
チームスピリットさんからはTeamSpiritのLightning Component化と領収書OCRコンポーネントの紹介などがありました。
徐々にLightningコンポーネントが増えていっていますが、日本企業のリリースしているコンポーネントはその中でもクォリティが高いように思います。今後もいろいろ増えていくと思いますので、今後も楽しみです。
Salesforce1 Platformクイズ大会
AppleWatchのかかったクイズ大会は、なかなかの盛り上がりを見せました。「SalesforceのCMに女将として出演している女優さんの名前は?」などSalesforce1 Platformに関係ない問題を織り交ぜながら19問の問題が出題されたりしました。最終的には、運営メンバーを除いて正解数の多かった3名の方からじゃんけんで勝者を決めました(クイズはどうした?)。
じゃんけんに勝ち残り、AppleWatchを見事ゲットしたのは@lv1hp0 さんでした!おめでとうございます~!ツイ垢見ると、認定上級デベロッパーを持っていらっしゃるようで。ぜんぜんLv1でもHP0でもじゃないっすね^^;
Salesforce DUGの何かに参加したのは初めてとのことなので、今回に懲りず参加してもらえれば幸いです。
Platformテーブルトーク
Salesforce.comの岡本さん、Herokuの相澤さんの開発者向けセッションと重なったこともあり、少なめの参加者によるトークに…。まぁ、開発者向けセッションに行くよね^^;
とはいえ、参加していただいた方とはなかなか濃いトークができたのではないでしょうか?
開発者コミュニティラボの模様
開発者コミュニティラボの模様はこんな感じでした。
その他の写真は、Salesforce DUG JapanのFacebookグループにアルバムを作って公開していますので、そちらで見ついでにFacebookグループに参加してもらえるといいと思います。
まとめ
今回が初めての開催となったわけですが、急遽決まったことやその他イベントも多く運営メンバーが忙しく十分な準備ができなかったりと準備不足の感もあり申し訳ない気持ちです。
とはいえ、それなりに開発者の方に参加していただき、かつ、これまで知らなかった方にSalesforce DUGという存在を知ってもらえたように思います。まだいろいろできたんじゃないか、と言えば、キリがなくなってしまいますが、今回の経験を次回に活かせていきたいと思います。
Lightning Component もくもく会 #3 でもくもくしてきたよ
2015年7月14日に Salesforce DUG 主催の Lightning Component もくもく会(仮) #3 を開催しました!
今回は、上場して新社屋に移ったばかりのTerraSkyさんにお邪魔して開催しました。
salesforcedugjapan.doorkeeper.jp
もくもく会の模様
LT
今回のAppirioの北嵐さんから発表がありました。
テーマは「標準化 for Lightning Development」とこれからLightning Componentを利用して開発するにあたって、標準化として決めておいたほうがよいこと、書き方などがまとめられていました。
残念ながら、LT資料はアップされていないようなので、なかやまさん(@nakayama_san)にまとめていただいた絵をどうぞ。
すごくわかりやすくまとまっています!
#golightningfast
Lightning Componentもくもく会の#3にきましたー。 pic.twitter.com/u1z0suDl6B
— なかやまさん (@nakayama_san) 2015, 7月 14
ツイートまとめ
もくもく会でのツイートをまとめていますので、ご参考まで。togetter.com
最後に
今回のもくもく会は、これまでとは違ってわりともくもくと作業されている方が多かったように思います。ただ、Salesforce DUG運営メンバーは7/24イベント準備など別のことをやっている人が多かったですが…(-_-;)
7月はイベント盛りだくさんですが、9月中旬のDreamforceももうすぐなので、なんとなくそわそわしますね。Dreamforceまでにもう一度もくもく会をやりたいと思いますので、またよろしくお願いします!
Enjoy Lightning!
Lightning Component もくもく会(仮) #2 でもくもくしてきたよ
2015年5月27日に Salesforce DUG 主催の Lightning Component もくもく会(仮) #2 を開催しました!(ぱちぱちぱちっ) 少し参加人数が減ってきましたが、普段あまり話さないエンジニア同士でネットワーキングできてよかったです。
salesforcedugjapan.doorkeeper.jp
もくもく会の模様
あと、なかやまさんに描いてもらいました!
ありがとうございます!
#golightningfast pic.twitter.com/PoMnVzatco
— なかやまさん (@nakayama_san) 2015, 5月 27
発表資料や実況ツイートなど
吉川さんのちゃんと検証した技術的な話や木村さんの現在開発中のコンポーネント披露など勉強になりました。なかなかどういったコンポーネントを作ればいいのか手探りな感じなので、実際に手を動かした結果のフィードバックはとても参考になります。
ちなみに、私の発表資料はこちらです。今回も前回に引き続き、話のネタ的な発表資料でした。
ディスカッションでは、今後どうなっていくか大予想みたいな話ができて面白かったです。
www.slideshare.net
ついでに、関連しそうなツイートをまとめたので、ご参考まで。
さいごに
株式会社チームスピリットでのもくもく会も3回目となりました。恒例のケーキ美味しかったです。ごちそうさまでした!
次回、もくもく会はきっと日本橋で開催予定なので、皆さま懲りずにご参加ください。
Enjoy Lightning!
Salesforce1 Lightning Fast Seminarに参加してきたよ!
かなり遅い報告ですが、2015年5月12日に開催されたSalesforce1 Lightning Fast Seminarに参加してきました。このセミナーは、米国本社からLightning開発責任者が来日してLightningの最新情報やディープな技術解説するというもの。
発表資料や実況ツイートなど
感想
Lightning Component で拓ける世界、どこを目指しているのか、垣間見れました。
Lightning Component を JavaScript を利用した Framework として理解しようとすると、 他の Framework と比較して、開発者が幸せにならないように感じてしまいます。しかし、 Lightning Component を Force.com標準ページや Visualforce の再発明 と考えると、どこに向かおうとしているのか見えてきます。
ポイントは Lightning Extension にあります。これまでの Force.com 標準ページ/ Visualforce が不満に思われていた点は「UI」です。標準的なUIは準備されていますが、そこから外れる場合は一から造り直す必要があります。それは、ちょっとした入力支援を追加したい場合でも同様です。
その問題を解決するための技術が Lightning Extension です。Lightning Extension では、Salesforce1 の標準ページや Lightning Component で開発されたページを外側から UI だけを差し替える、などカスタマイズができるようになります。これによって、ロジック部分は変更せず、入力支援だけを追加したり、ページレイアウトを変更したりすることでユーザビリティを向上させることができるようになります。
そのために重要なことが、Lightning Component による画面の部品化です。Lightning Extension で差し替えできるポイントを識別するために、コンポーネントに分けてある必要があります。逆に言えば、細かく分けられていないコンポーネントは Lightning Extension によるカスタマイズがやりにくく、利益を享受できません。
Salesforce.com社は、自社のサービスを Lightning Component を利用して実装し直しています。Salesforce1 は近い将来フルサービスが利用できるようになり、さらに Lightning Extension の登場によってUIを自由にカスタマイズできるようになるでしょう。
以上が、今回のセミナーで感じた私の Lightning Component の未来についての感想(妄想)でした。
Enjoy Lightning!
Lightning Component もくもく会(仮) #1 でもくもくしてきたよ
概要
2015年4月21日に Salesforce DUG 主催の Lightning Component もくもく会(仮) #1 を開催しました!(ぱちぱちぱちっ)
salesforcedugjapan.doorkeeper.jp
とりあえず3本ほどLTをやったり、ケーキ食べたり、もくもくする人や雑談する人などワイワイした感じで第1回を行いました。ゆるい感じではありますが、真剣な会だったような気がします。
LT
Force.com MVPに混じって LT で発表させてもらいました。
今回の発表では、もくもくする題材としてLightning Component をやっていく上で押さえていきたいポイントを「研究ポイント」としてまとめてみました。
Force.com MVPお二人の発表はとても愛に溢れた発表でした。DoorKeeperやFacebookページの方にスライドのURLが貼り付けてあります。
個人的な感想
やはり気になる点としては、コンポーネント内にJavaScriptを閉じ込める方法がないことでしょうか?
AppExchangeコンポーネントという名前でマーケットでコンポーネントを流通させることを目指しているようですが、思いっきりグローバル変数を汚染するようなコンポーネントが本家から公開されていたり。ちゃんと対策しないとセキュリティレビューを通過しないだろうから、ゴリゴリJavaScriptやらCSSやらを自分で書いて、Bundleに閉じ込めないといけないのかな、と思ってましたが、そんなことないんですかね。
今後の展開
このもくもく会をどういった方向で進めていこうかノープランなわけですが、何かご意見、ご感想などありましたら、
Salesforce DUG Japanあたりに投稿してもらえばいいと思います。
Enjoy Lightning!